【2018.1月時の注意点】
こちらの投稿は、2017年までの年末調整について書いています。
2018年以降は配偶者控除など変更点が多数ありますので、お間違いないようお願いいたします。早めに内容のアップデートをするようにいたします。
暦はもう霜月・11月。
会社では年末調整書類の配布を行いました。
毎年、この時期は提出されてくる年末調整(以降、年調とします)書類の確認に大忙しになります。そして、あまりの状態に閉口してしまう。
というのも、出されてくる書類の誤記入・未記入が多すぎる!のです。
今回は、そんな年末調整について、それをチェックする側の立場から書いてみます。
私が所属する会社では、年調で①~③を必ず確認・提出してもらい、さらに必要な人には④を出してもらいます。
- 今年の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 来年の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 今年の給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
もっと自分が関わる制度に目を向けてほしい
私は総務職です。
ところが実際は、支所の事務的な作業全てを行うため、おそらく一般の会社で言う営業事務も経理業務も庶務的な雑用も、全部業務に含まれます。
(他の会社で事務職やったことないのでわからないので、おそらくですが)
※本職の経理は本社に置かれていますが、全社取りまとめといった感じで、各支所の経理は各支所の総務が行っているのです。
そんな私が思うこと。
税扶養の条件、社会保険扶養の条件など、もの凄くざっくりした知識しかない方が大半。103万や130万の壁をしっかり知っている人は、ほんの一握りです。
しかも、来年(平成30年:2018年)以降の扶養控除は、配偶者の扶養に関するあれこれに変更があり、ちょっとややこしかったりもする。(実際は全然ややこしくないが)
▼このサイトはわりとわかりやすかったので理解していない人はぜひ。
公的機関が関わる書類は、確かに面倒くさいです。
書式も一般の会社で作るものに比べると下手(あ、失礼)で、感覚的に分かりにくい。そして説明を詰め込みまくっているので、文字も小さくて多い。
見ただけで拒否反応が出てしまうのも、わからないでもない。
でもね、言わせて!
国はね、「あなたこれ、忘れてますよ~損してますよ~」なんて教えてくれないのです。逆に、国が取りこぼしてるところだけ、よこせ!とつついてくるんだから!
自分のお金に関することだよ!
絶対に理解したほうがいいよ!
税金とかそういう国関係のことになると億劫になるのはわかるけど、絶対理解しておいた方がいい。知らないと損することとかいっぱいあるよ、国のやることにはさ!
— こるり@凛と柔く (@koruri130) 2017年11月10日
こんな誤記入・未記入が多い
ではここで、私が確認した中で多い事例やびっくりな間違いなど挙げてみます。
平成29年の控除対象配偶者欄に、38万円以上の所得額を書く
なぜか、と。なぜその部分を間違うのか、と。
基本中の基本ができていません。
「配偶者控除」は、合計所得金額が38万円以下である場合に対象となるのです。
そして合計所得金額とは、収入から控除額を引いた金額のこと。
収入と所得を混同している人が多いことから、皆さんの興味のなさが伺えます。
また、わからないからと未記入の人もいますが、未記入はダメです。ちゃんと書いてください。会社側が勝手に書くことできませんから。
以下のことは、本当に基本です。覚えましょう!
① 配偶者の年収が103万円以下
(年収から給与所得控除額の65万円を引く)
103万円-65万円=38万円
② 配偶者が65歳未満で年収が公的年金だけ:108万円以下
(収入から公的年金等控除額の70万円を引く)
108万円-70万円=38万円
③ 配偶者が65歳以上で収入が公的年金だけ:158万円以下
(収入から公的年金等控除額の120万円を引く)
158万円-120万円=38万円
この式を覚えることはできないとしても、記入する金額は、配偶者の手どりの給料とは異なることを覚えておけば、その都度ググれば何とかなりますから!
なお、前述のとおり平成30年からは記入についての条件が変わっていますので、脳内情報の更新をお忘れなく!
保険料控除申告額の記入が間違っている
これ、本当に多いです。
確認時に一番多く訂正する箇所です。
保険料控除とは・・・
納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。
(引用元:No.1140 生命保険料控除|所得税|国税庁)
保険料控除という制度があることは皆さん知っているようで(証明書が送られてきますしね)、そこはいいのですが、一般生命保険と介護医療保険という2種類の記入枠の違いがあることに気づかない人が多いのです。
確認するべきは下図の赤枠内です。
引用:第一生命
ちゃんと新制度 or 旧制度、そして一般生命保険 or 介護医療保険が区別して申告額が書かれています。しっかり確認し、さらに記入する欄を間違えないようにしましょう。
一般生命保険は上、介護医療保険は下と、計算する枠もはっきり区別して書式が作られていますからね!
また、まれに青枠内、つまり証明書作成日までの保険料を記入する人がいますので、そこも注意です。
年末時の控除額について記入するのですから、書くべきは12月末時の額であり、申告額として記載されている金額です。
さらに、保険金の受取人が証明書に記載されていないからわからない、と言って未記入で提出してくる人もいますが、それはダメ。わからないなら確認しましょう。
何をみればいいのかわからないという驚きの返答をする人もいますが、証券または契約書を見てください。絶対書いてありますから。
というかそもそも、受取人を誰に設定したかわからないとか・・・そんな馬鹿なですよ(-_-;) 保険って大金です。もう少し意識しておいた方がいいです。
保険料控除額の計算が間違っている
保険料控除額を出すため、新制度・旧制度に合わせて計算式が設定されていますが、その計算を間違える人が何とも多い!
中でもつまづいていると思われるのは、分数の計算ではないでしょうか。1/2とか1/4とかね。書いている申告額は正しいのに、計算後の額が間違っている人は、案外多いのです。
計算は、
- 1/2(にぶんのいち)は ×0.5
- 1/4(よんぶんのいち)は ×0.25
で行いましょう。
またその際に、1円以下の端数が出た場合は切り上げて記入します。
確定申告はご自分で!会社は関与しません
驚きなのは、確定申告について聞いてくる人もいること。
これですね、会社は関係ありません。
あなたの給与以外の所得は会社ではわかりません。また、医療費もわかりません。
確定申告を行う場合は、ご自身で色々準備や手続きをしてくださいね!
自分で何とかできるようにしよう
先に挙げたのはほんの一部です。
色々わからないことが出てくるのは仕方ないです。その都度調べればいいと思います。
でもね、毎年同じことを聞くのはよくない!
先に貼った私のツイートに対して、さびこさん (id:sabineko325) となごみさんが、こんなリプをくださいました。
毎年聞いたらいかんと思って去年のコピーとって机に入れてる。
— なごみ@ゆるりまあるく (@yururimaaruku) 2017年11月10日
実は、わが家の夫もなごみさんと同じ。「毎年どうやって書くか忘れていて悩むから、コピーとってあるんだよね」と言っていました。
そうやって、自分で何とかできるように対策を立ててほしい。自分で考えるということをしてほしい。
それはもちろん、こちらでの確認・訂正作業が面倒というのもありますが、何よりも、本人たちが他人事に捉え過ぎてよくないと思うから。
みなさんに、もっと当事者意識をもってほしい!のです。
細かい説明、難しい言葉。嫌になってくるのもわかります。でも、そこを我慢して踏ん張って欲しい。拒否反応、思考停止はダメ!
各種手続きの詳細リンク
ここで、私が10年以上総務業務をしてきた中で、みなさんがあまり知らないのだとわかったことについて、公的なリンクなど貼っておこうと思います。
この程度の項目があるのだと、知っておくだけでもいいのではないかと思います。
年末調整関連
・税扶養に関する申告に関して
▷ [手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|源泉所得税関係|国税庁
・保険料控除と配偶者特別控除に関して
▷ No.1140 生命保険料控除|所得税|国税庁
▷ No.1195 配偶者特別控除|所得税|国税庁
・住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)に関して
▷ No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
健康保険関係(協会けんぽ)
健康保険は、大きな会社であれば労働組合の保険に加入していると思うので、そちらで確認するのがよいと思います。
今回は、全国健康保険協会 (通称:協会けんぽ)の場合をリンクしておきます。
・傷病手当金:病気・けがで長期間会社を休み、給与の支払いを受けていないときの手当金
▷ 病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
・医療費が高額な場合
①限度額適用認定:事前に手続きし、支払う額を上限までとする
▷ 医療費が高額になりそうなとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
②高額療養費:一旦自分で支払ったのち、上限を超えた分の払い戻しをしてもらう
▷ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
・療養費:保険証忘れなどで全額負担した後、一部負担金相当額を差し引いた額の払い戻しをしてもらう
▷ 医療費の全額を負担したとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
・任意継続:会社を退職した後も、一定期間は協会けんぽに加入した状態を続ける
▷ 会社を退職するとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
さいごに
今回こんなまじめな記事を書こうと思ったのは、なごみさんが「書いてみては?」と言ってくださったからでした。
普段の仕事で思っていることをこんな形で書くのは不思議ですが、誰かにとって何か意味のある投稿になってくれるといいなと思います^^
なお、書いていることで誤りがありましたら、教えていただけると幸いです!